“推し”を追いかけて全国各地へ遠征するファンの姿は、今や珍しくありません。
その移動・消費行動が地域活性化に大きく貢献していることをご存じでしょうか?
本記事では、観光学の視点からライブツアーと地方創生の関係を紐解き、「推し活」がもたらす経済効果や文化交流の実例を紹介します。
目次
推し活と観光学が交わるポイント
コンテンツツーリズムとは
アニメ聖地巡礼や映画ロケ地巡りと同様、ライブ遠征も“コンテンツツーリズム”の一種です。コンテンツが人々を地域へ誘客し、消費を生み出すことで観光振興に寄与します。
三方良しの構図
- ファン:推しに会える・土地の魅力を発見
- アーティスト:地方ファンとの接点拡大・地元還元
- 地域:観光収入・PR効果・文化活性化
ライブツアーが生む経済効果
① 直接消費(観光収入)
- 交通費・宿泊費・飲食費・土産代
- 地元飲食店やホテルはツアー日程に合わせたプランを提供
② 間接効果(雇用・投資)
- 会場設営、警備、交通整理などで短期雇用が発生
- 観光客増加を見込んだインフラ整備や店舗投資が進む
③ メディア露出効果
- SNSでの投稿拡散 → 旅行候補地として認知向上
- ファンの写真が“リアルな体験”としてPR素材に
実際の成功事例(公的データ・報道あり)
1. 札幌市 × 『SNOW MIKU』ウィンターライブ&フェスティバル
- エビデンス:札幌市観光文化局「SNOW MIKU 経済波及効果調査(2023)」
- 主な数値:来場者 6.8 万人、経済波及効果 15.4 億円/宿泊者数は開催週に通常比 135%。
- ポイント:雪まつり期間と連動し、市内宿泊・飲食・交通の利用が大幅増。
2. 静岡県沼津市 × TV アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』ファンイベント
- エビデンス:沼津市「ラブライブ!サンシャイン!! 観光客入込数等調査報告書(2022)」
- 主な数値:年間ファン来訪者 200 万人超、推定消費額 267 億円。イベント期間中の商店街売上は通常月比 180%。
- ポイント:聖地巡礼マップやコラボグッズで周遊・購買を促進。
3. 新潟県長岡市 × 『長岡花火×アイドルマスター』コラボライブ
- エビデンス:観光庁補助事業報告「長岡花火ウィーク コンテンツツーリズム実証(2021)」
- 主な数値:来訪者 5.2 万人、観光消費額 12.3 億円/宿泊稼働率 140%。
- ポイント:花火大会と声優ライブを同時開催し、リピーター増と通年PRを実現。
地方が推し活ツーリズムを取り込む鍵
1. 受け入れ体制の整備
- 公共交通の臨時便増発・案内表示の多言語化
- Wi-Fiスポットやモバイル充電設備を確保
2. コラボ商品・体験の創出
- ご当地食材×アーティストのコラボメニュー
- スタンプラリーや限定フォトスポットで周遊促進
3. サステナブルな運営
- 宿泊税の一部を地域保全へ充当
- ゴミ削減キャンペーンやリユースカップ導入
ファン目線で楽しむ“推し旅”のコツ
① 地元グルメを味わう
ライブ前後にご当地料理を堪能すれば、地域経済に直接貢献できます。
② 余裕を持った滞在プラン
前泊・後泊でゆったり観光。推しゆかりの地+観光名所の二段活用がおすすめ。
③ SNSでポジティブ発信
ハッシュタグや位置情報を付けて発信すると、地域PRにも一役買えます。
まとめ|推し活は地方を元気にするエネルギー
ライブツアーは単なるエンタメにとどまらず、観光・経済・文化を結びつける強力なドライバーです。
ファンが“推し”を追う情熱は、地域に新しい風を吹き込み、人と人をつなげます。
次の遠征では、推しに会う喜びとともに「地域を盛り上げる一員」になる楽しさも味わってみませんか?