「推し活(おしかつ)」という言葉が一般化し、SNSでも日常的に見かけるようになりました。しかし、実際にファン人口がどのように推移してきたのか、なぜこれほど広がってきたのか、統計的な視点から見てみると、そこには現代社会の変化と深く関わる要因が隠れています。
本記事では、推し活の人口データの推移を紹介しながら、背景にある社会現象やライフスタイルの変化について解説します。
推し活人口の推移:データから読み解く
推し活人口は右肩上がり
総務省や民間調査会社のデータによると、2010年代から「推し活」に参加する人の数は急激に増加しています。特に、以下の時期に大きな成長が見られました。
- 2011〜2015年:SNS拡大と韓流ブーム
- 2016〜2019年:アイドル市場の成熟期(坂道・ジャニーズ・2.5次元舞台)
- 2020年以降:コロナ禍によるオンライン化と趣味消費の爆発
2022年の調査では、日本国内で何らかの「推し活」をしている人は約2700万人とされ、人口の2割以上に達しています。
ファン人口が増えた3つの理由
① SNSとプラットフォームの進化
Twitter(現X)、Instagram、YouTube、TikTokといったSNSの台頭により、「推し」の存在がより身近になり、ファン同士のつながりも加速しました。ファンアート、ファン動画、感想ツイートが拡散されることで、新たなファン層が自然と形成されています。
② 推し活の多様化
以前はアイドルやアニメが中心だった推し活ですが、現在では以下のように幅広いジャンルで「推し」が登場しています。
- VTuber
- スポーツ選手
- 声優
- 俳優・舞台俳優
- キャラクター(サンリオ・ポケモンなど)
これにより、年齢や性別に関係なく「推し」を持つ人が急増しています。
③ 心の安定・自己肯定感の向上
現代人にとって、推し活は「心の支え」や「生きがい」に直結する活動です。心理学的にも、推し活によるポジティブな感情は、ストレス緩和やモチベーション向上に寄与するとされています。特にコロナ禍では「外出できない」「将来が不安」といった不満を推し活で補う人が多かったのです。
年代・性別で見るファン層の変化
若年層から中高年層へと広がる
一昔前までは「若い女性の趣味」と思われがちだった推し活。しかし近年は40代〜60代のファンも増えており、「人生の後半で見つけた推し」という人も珍しくありません。
男性ファンの増加
女性中心だった推し活市場にも、男性ファンが大きく参入してきています。VTuberやアニメ、特撮などをきっかけに、「推し活男子」や「沼落ち」する男性も急増中です。
推し活は今後どうなる?
統計から見る限り、推し活市場は今後も拡大が予想されます。以下のようなトレンドが鍵になります。
- メタバースやAR/VR技術による仮想推し活体験
- NFTやブロックチェーンを活用したデジタルグッズ経済
- 国際ファンコミュニティによる越境的推し活
「推し活」は一時的なブームではなく、今や日本文化のひとつといえる存在です。今後の動向も、統計的な視点から注目していく価値があるでしょう。
まとめ
- 推し活人口はここ10年で急増し、2022年時点で2700万人を突破
- SNSやオンライン化、趣味消費の多様化が拡大の要因
- 年齢・性別を超えた広がりを見せ、今後も進化が期待される
「データで見る推し活」は、ただの趣味を超えた社会現象です。あなたの「推し活」も、この時代のトレンドのひとつかもしれません。