アイドル、アニメキャラ、スポーツ選手——今や「推し」は子どもたちの生活の一部となっています。一見、娯楽や趣味として見られがちな“推し活”ですが、実はその中には子どもたちの成長を支える教育的な要素がたくさん含まれています。

本記事では、推し活を通じた子どもの発達や家庭での関わり方について、教育学の視点から掘り下げていきます。

推し活とは?子どもたちの新しい自己表現

推し活は「自分らしさ」を見つける手段

推し活とは、自分の「推し(=応援したい存在)」を応援したり愛でたりする行動全般を指します。アイドルだけでなく、アニメやゲームのキャラ、VTuber、アスリートなど、推しの種類は多種多様です。特に小・中学生の間では、SNSや動画サイトを通じて自然と「推し活」が浸透しています。

この推し活が子どもたちにとって持つ意味は大きく、自己表現の一環となることも少なくありません。「私は○○が好き」と言えることは、自分の価値観や個性を認める第一歩。推し活は、内面の成長を支えるきっかけになっているのです。

教育的観点から見る推し活のメリット

① 社会性の発達

ファン同士での交流やイベントへの参加を通じて、子どもたちは他者とのコミュニケーションを学んでいきます。共通の「好き」があることで、初対面の子とも打ち解けやすく、仲間意識や共感力が育まれます。

② 目標意識の芽生え

推しの活躍に刺激を受けて「自分も頑張ろう」と思うこともあります。たとえば、推しの歌やダンスを真似することで、集中力や継続力、努力することの大切さを学ぶことができます。

③ メディアリテラシーの向上

推し活は、SNSやYouTubeなどのデジタルメディアと密接に関わっています。保護者が適切なガイドを行うことで、子どもは情報の取捨選択やネットマナーを自然と学ぶ機会になります。

親ができる「推し活サポート」

子どもの気持ちを否定しない

「そんなのに夢中になって…」と否定的になるのではなく、「何が好きなの?」「どこに惹かれるの?」と対話を大切にする姿勢が、子どもの信頼や自己肯定感を育てます。

一緒に楽しむ姿勢を持つ

推しグッズを一緒に作ってみたり、イベントを一緒に視聴したりと、親子で楽しめる形にすれば、コミュニケーションの機会が自然と増えます。子どもの世界に寄り添うことが、教育的にも大きな意味を持ちます。

ルールを一緒に決める

「SNSは時間を決めて使おうね」「課金はお小遣いの範囲内で」など、推し活を健全に続けるためのルール作りも大切です。子ども自身に考えさせることで、責任感も育ちます。

推し活が育む“心の教育”

推し活は、ただ楽しいだけでなく、心の成長にも繋がる活動です。感動したり、励まされたり、時に悔しい思いをしたり——それらの経験すべてが、子どもたちの感受性や思いやりの心を育ててくれます。

まとめ:推し活は“学び”の宝庫

子どもが夢中になる“推し活”を、親が「学びのきっかけ」として捉えることで、教育の幅は大きく広がります。子どもが何を感じ、どう成長していくのかを見守りながら、一緒に応援する姿勢が、家庭での大きな教育力となるでしょう。